ネガティヴ母さんポジティブに生きる

さらばネガティヴ。母さんだって、育児も家事もお洒落も楽しみたいのです。

詩人


『 祝 婚 歌 』

吉野 弘


二人が睦まじくいるためには

 

愚かでいるほうがいい

 

立派過ぎないほうがいい

 

立派過ぎることは

 

長持ちしないことだと

 

気づいているほうがいい

 

完璧をめざさないほうがいい

 

完璧なんて不自然なことだと

 

うそぶいているほうがいい

 

二人のうち どちらかが

 

ふざけているほうがいい

 

ずっこけているほうがいい

 

互いに非難することがあっても

 

非難できる資格が自分にあったかどうか

 

あとで疑わしくなるほうがいい

 

正しいことを言うときは

 

少しひかえめにするほうがいい

 

正しいことを言うときは

 

相手を傷つけやすいものだと

 

気づいているほうがいい

 

立派でありたいとか

 

正しくありたいとかいう

 

無理な緊張には色目を使わず

 

ゆったりゆたかに

 

光を浴びているほうがいい

 

健康で風に吹かれながら

 

生きていることのなつかしさに

 

ふと胸が熱くなる

 

そんな日があってもいい

 

そしてなぜ 胸が熱くなるのか

 

黙っていてもふたりには

 

わかるのであってほしい

 

 

 

 

亡き吉野さんが、娘さんの結婚式に贈った詩ですが、恋人同士に限らず、誰かと喧嘩したときには心にズサッときます。

 

まさにイマ。